研究概要 |
熟練作業者の加工をもとに自動きさげ作業に適した加工モーションおよび加工方法を検討した. 300fpsの高速度カメラをはじめとするモーションキャプチャーシステムにより熟練作業者の工具の動作をコンピュータで取得し, 画像処理を行って動きを解析した. 同時に加工時の垂直・水平方向の切削力をコンピュータで測定し, これらを総合的に分析して機械の加工に適したモーションを求めた. その結果, きさげ工具にばねをつけた加工ユニットを一度抑えつけながら, やや斜め上方向に逃げるように動かすことで良好な加工を行うことができた. これにより, すべりやむしれをおこすことなく熟練作業者の加工と比べて, 加工痕サイズ, 加工痕深さとも同様な加工を行うことが可能であった. XYZ軸の位置決めステージに上述に加工ユニットを取り付けた自動きさげ加工機にて, 工作用定盤面仕上げを試みた. 最終的に, 230×160mmサイズの研削加工を施した定盤面にきさげ仕上げを施し, 6μmの深さで加工痕形状が均質な加工を自動的に行うことができた. 一方, 上の加工方法で仕上げられたきさげ仕上げ面のしゅう動性能を調べた. しゅう動時の摩擦力としゅう動面の油による浮き上がりを同時に測定可能な試験装置を用いて6〜6000mm/minの速度域でしゅう動試験を行った. その結果, 摩擦係数においては高速, 低速域ともに熟練作業者によるきさげ仕上げ面と同様な傾向を示し, 研削面と比べ低速で浮き上がり量がすくないことが明らかになった. 以上のことから, すり合わせを必要としない定盤仕上げにおいて本自動きさげ加工機は十分な性能があると考えられる.
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