曲がり管路の流れは基本的な流れの一つであり、様々な条件の下で研究が行われてきた。しかしそのほとんどがニュートン流体に関するものであり、非ニュートン流体については極めて少ない。平成19年度においては、濃度の異なる高分子水溶液(PAA 0.025wt%、PAA 0.05wt%およびPAA 0.1 wt%)を用いて、円形断面を有する多段屈曲流路内流れ(屈曲段数N=1、2、6、32及び60)の可視化観察を行ない、PAA水溶液の二次流れパターンは、ニュートン流体の場合とは異なり、曲がり管部下流からの距離、レイノルズ数Re、及び屈曲段数Nの影響を強く受けることを明らかにした。平成20年度においては、多段屈曲流路内流れの曲り部直下流の直管部におけるPIV計測、ならびに2段屈曲流路内流れの曲り部における二次流れの可視化観察およびPIV計測を行ない、以下の主な結論を得た。 1. PAA 0.1 wt%水溶液の二次流れとして、ニュートン流体と同様に中央部で外向き流れとなるType N、ニュートン流体とは逆向きのType R、上下に対称な2対の渦を有するType DCの3種類の二次流れパターンが観察された。 2. PAA水溶液では、N=60において、混合が急激に促進されるレイノルズ数Reが存在し、そのRe付近において二次流れパターンが変化する。 3. 水と屈折率がほぼ同じPEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)チューブを用いることで、曲り部途中において、屈折率の影響がほとんど無い垂直断面画像を取得することを可能とした。 4. 2段曲り流路の曲り途中においては、流体混合はほとんど進行しない。 5. 曲り途中(曲り角度θ=0、30、45、60、90、120、135、180度)における垂直断面の水平軸上および垂直軸上の半径方向速度分布を明らかにした。
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