研究概要 |
本申請研究で開発している固体高分子形燃料電池(PEFC)における生成水自己管理型セパレータは, セパレータのリブ部(MEAとの接触部)に膜への水分補給のための金属多孔質体による保水層(Water Adsorption Layer : WAL)を設け, かつ, 保水層下部に排水溝を設けることで保水層中に過飽和した水を効率的に排水するものである. 昨年度の研究成果として, 本セパレータの可視化モデルによって, WALの最適な平均細孔径(0.9μm)と排水溝寸法およびその配置について検討し, 良好な電池基本特性が得られた. そのため, 今年度はまずセル全体としての生成水分布を把握するとともに, アノード・カソードを隔てる膜を介した水移動現象を把握するために, 通常セパレータの両極同時可視化モデルを用いて, アノード・カソード両極同時に可視化実験して, ガスの入ロ-出口配置の違い, および, 加湿量の違いによる水分布を系統的に把握し, その結果をJournal of Power Sourcesに報告した(掲載決定). 次いで, WAL型可視化モデルと同型の金属モデルにおいてWALによる効果の検証を行った. 金属セパレータを使用することで電池抵抗が低下し, 低電圧負荷時には良好な電池性能が得られたが, 実用範囲の電圧負荷状態以上にすると, 生成水量が増えることで生成水がうまく排水されず, プラギングによるガス流路閉塞による急激な電池性能低下が見られた. そのため, 実用化に向けてはセパレータ表面処理法の検討などの課題が残されている.
|