研究概要 |
有害微粒子の吸入による疾患の予防・診断支援, また薬物投与における製剤設計・治療計画支援を目指し, 肺気道内に吸入された微粒子の振る舞いを計算機上で再現する気道内微粒子挙動の数値シミュレーションを行った. 比較的硬くて太い気道(気道径約1〜20mm)と柔軟な進展性を有する細い気道(気道径約0.1〜1mm)ではその変形特性及び内部の流動状態が大きく異なるため, マクロ・マイクロの両視点からそれぞれイメージベーストモデリングを行った.本研究では(1) CFD(Computer Fluid Dynamics)により, 粒径・密度や形状, 電気的特性など多くの因子によって支配される気道内微粒子挙動の特性を調べ, (2)同モデルを用いた流体計測実験によりシミュレーションモデルの妥当性を検証した. 数値シミュレーションでは, CT画像から再構築した3次元気道モデルを用い, 微粒子の径や密度をパラメータとして, その気道内挙動を調べた, 微粒子の挙動は, 分散相モデルを使用してラグランジュ的に記述された粒子の運動方程式を解くことで得られる粒子速度を時間積分することにより調べた. 特に移動境界条件を与えて気道の変形を考慮したシミュレーションでは, 気道の拡張・収縮変形により微粒子の輸送・混合が促進される結果が得られた. 数値シミュレーションと並行して, 3次元光造形を用いて作製した実形状気道モデル流路内の流れの可可視化・PIV計測を行った. 吸気・呼気流れの構造を調べるとともに, 乱れの発生する部位・流量条件を明らかにした. 気道モデル内では, 比較的レイノルズ数が小さな条件下であっても, 複雑な形状の影響により乱れが発生することなどを確認した.
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