吸着冷凍機は自然冷媒を用いており、また、排熱利用が可能であるため、環境負荷が小さく、省エネルギーに大きく貢献する。特に、70℃前後の温水を駆動熱源として冷熱を製造できる点が、他の排熱駆動冷凍機にはない利点である。しかしながら、今後吸着冷凍機の普及を促進するためには、装置の小型化やCOPの向上等の課題を有する。そこで本研究では、吸着冷凍機の運転パラメータ及び設計パラメータを最適化し、小型化・高性能化に資する知見を得ること、同時に、Particle Swarm Optimization (PSO)と呼ばれる最適化手法を工学設計に適用し、容易に最良解を求める手法を確立する芒とを目的としている。 平成19年度は、PSOを使って吸着・脱着過程時間、予冷・予熱過程時間の最適化を行い、吸着冷凍機の冷凍能力を最大化できる可能性を示した。また、実験用の吸着冷凍機を用いて、運転データの取得を行い、シミュレーション結果が実験機の性能特性を良く表していることが確認できた。さらに、吸着・脱着過程時間に関するパラメータ解析を行い、シミュレーションにより得られた最適値と実験により得られた最適値が近い値を示すことがわかった。これらの結果から、吸着冷凍機のシミュレーションとPSOとを組み合わせ、運転パラメータを最適化する手法が、実機の性能向上に対して有効であることがわかった。 今後、熱源水の温度レベルと流量、熱交換器の熱容量と総括伝熱係数について解析を行い、それらが最適化に与える影響を調べる予定である。
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