研究概要 |
本年度は,高温空気燃焼の基本的な特性を把握するために,ステンレス製円筒型燃焼炉における高温空気燃焼場のNOx排出特性について検討を行った.燃料としてプロパンを用いた.また,酸化剤として,空気を窒素により希釈し,さらに電気炉で960℃まで予熱した高温希釈空気を用いた.燃焼炉におけるNOx排出特性は,炉内循環渦により上流側に輸送された既燃ガスの巻き込みの影響を強く受けることが明らかにされている.そこで,酸化剤ノズルと燃料ノズルの間隔を大きくすることにより,既燃ガスの巻き込み量を増加させた.NOx測定結果より,既燃ガスの巻き込み量が増加するに従い,火炎が希釈されるためNOx排出量は低下することがわかった.これらの測定結果を基に,本研究ではNOx排出特性のスケーリング則の構築を行った.その結果,循環渦の影響を表現する炉レイノルズ数を用いることにより,NOx排出特性のスケーリングが可能であることがわかった.次に,急拡大流路内の反応性流れのラージエディーシミュレーションを行い,反応速度に対する反応生成物の巻き込みの影響について検討を行った.その結果,急拡大部の強い循環渦によって輸送された反応生成物が酸化剤流れに巻き込まれることにより酸化剤の濃度は低下し,反応速度は急激に低下することがわかった.次年度では,炉壁面温度を一定に制御した場合の結果と本年度の結果を比較することにより,壁面への熱損失が燃焼状態に与える影響について検討を行う.
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