研究概要 |
本年度は, 昨年度に引き続き, 油圧アームのポートハミルトン系としての物理モデルと構造的性質を明らかにした. ここでは, 圧力のダイナミクスを考慮する際に, パイプライン効果, 体積変化やベルヌーイ則などの非線形性を陽に考慮してモデリングした. そして, 油圧アームのパワーポートを明らかにし, さらに, 油圧アームがカシミール関数をもつ特殊なハミルトン系であることを明らかにした. 加えて, 位置と力に関するロバストな安定化補償器を提案して, その有効性を数値計算にて示した(S. Sakai : IROS08. S. Sakai : IFAC08). また, 油圧アーム実験機を実験的に評価した. 具体的には, 重力の有無の影響, 流体系の干渉と機械系の干渉(遠心力・コリオリ力)を独立に観察, 評価するため, 水平面内と鉛直面内のそれぞれにおいて, 多関節・円筒座標・極座標・直交座標, 閉ループの5つの関節構成に変形できる(可変な構造をもつ)アーム(7MPa, 全長2m, スプール位置 : 2入力, 関節変位・圧力・油温・流量 : 8出力)に手先負荷を与え, 提案した補償器を用いて手先発生力を実験的に評価した(論文査読中). さらに本研究の成果を応用的立場から評価するため, 電気電子要素を用いないpick-and-placeハンドについての研究を進めた(酒井ら : 日本ロボット学会誌). さらに本研究の過程で得られた知見から, ロバスト制御, 受動性に基づく制御に関しては共通しているクローラ車両(農業用重量物ハンドリングロボットの移動部)の制御に対してれ考察を深めた(K. Fujimoto et.al. : Automatica).
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