平成20年度は、本研究の第二段階として、第一段階の要素技術の更なる改良を行った。特に、宇宙機姿勢制御用アクチュエータシステムの自律的制御系再構成法の提案に関しては、構造振動や姿勢応答など構造系・制御系に関する各種モニタリングデータの時系列解析や設計データとの照合による自律的異常検知システムの検討と、検知した異常情報に基づき、所要の制御帯域が確保されるように、制御系パラメータの再調整や制御モードの切り替えを自律的に行う方法について検討した。また、アジリティ向上に関しては、ミッション開始時に特異点および静定時の姿勢制御性能を総合的に評価する最適化計算により、ミッション開始時の各CMGの初期角度を決定する方法を提案した。 さらに、耐故障性を有する宇宙機姿勢制御用アクチュエータシステムとして、スライディングモード制御手法を用いた劣駆動姿勢制御を提案し、4台のうち2台のCMGが故障した場合でも3軸の姿勢制御が可能であることを数値シミュレーションにより実証した。具体的な多点指向ミッションを設定し、提案手法をシミュレーションで試行することにより、有効性であることを確認した。 本申請課題の研究成果について、国内外の宇宙系会議において発表し、各分野の専門家と議論することで評価をしていただき、手法の優位点だけではなく、今後の課題についても明確にした。
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