研究概要 |
本研究ではもともと人間-機械系機器の例として, 「自走台車」や「スキルアシスト」などを対象に研究を進めてきた. そして, 自動搬送からパワーアシストを伴う手動位置決めに切り換えるモード切り換え型の制御手法を適用し, さらに, モード切り換え直前の安全確認型リーチングモニタリングと衝突ハザード予測を実現する手法を提案し, その有効性を実験的に確認してきた. しかしながら, このようなモード切り換え型の制御問題は人間-機械系機器に限らず, 機械構造物の運動制御問題において幅広く見られる. 例えば, クレーン等の搬送機器やハードディスクドライブ等の精密情報機器などがこれに相当する. そこで, 本年度は主に人間-機械系機器以外の機械構造物の運動制御問題に対する新しいモード切り換え型制御手法の検討を実施した. 中心となる対象は, 研究代表者が従来から取り組んできた振動系の位置決め制御問題であり, 本問題に対し, 昨年度本研究で採用した適応的非定常制御手法の新しい適用方法について検討した. 具体的には, 位置決め(アクセス) は主に簡単なフィードフォワード制御で実現し, 整定直前の適切なタイミングで最適レギュレータによる位置整定と残留振動抑制のための制御に切り換える制御手法である. ここでいう「適切なタイミング」とは, 制御入力の連続的な切り換えによるなめらかなモード切り換えを実現できるタイミングを意味する. 本手法は実装用計算機の負担が少なく, かつ制御対象の振動している部分を直接フィードバックする確実な振動抑制が実現できる. 本手法に関する検討は次年度も継続する. この内容の成果は人間-機械系機器において, その作業効率向上のために導入されてきた自動搬送モードの性能向上や, 今後の適切なモード切り換え手法の基礎と成りえる.
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