研究概要 |
近年のロボットマニピュレータは, 高速化およびエネルギーコスト削減等の観点から, 構造の軽量化が求められる傾向にある. 一方, これはマニピュレータの剛性の低下をもたらし, 振動が生じやすい状況となる. このような背景のもと, フレキシブルマニピュレータの振動制御に関する研究が盛んに行われている. しかしながらこれまでの研究においては, 望ましくない振動を抑制することに主眼が置かれており, 振動抑制と省エネルギー化の両立を目指したアプローチは十分になされていない. そこで本年度においては, 1リンクフレキシブルマニピュレータのPoint-To-Point(PTP)制御問題を扱い, 駆動エネルギーと残留振動を最小化する多目的最適化に基づく軌道計画法を提案した. マニピュレータの関節角軌道を3次のスプライン関数で記述し, その補間点を探索パラメータとして多目的遺伝的アルゴリズムを適用した. 数値シミュレーションから, 駆動エネルギー最小化と残留振動抑制の間にトレードオフの関係があることを明らかにした. また, 残留振動および駆動エネルギーの両者がサイクロイド曲線軌道のものよりも減少しており, 本軌道計画法の有効性を認めることができた. さらにモデル実験を実施し, 提案された軌道計画法の妥当性を検証した. 数値シミュレーションとモデル実験の両者は十分に一致していることから, 本研究のマニピュレータのモデリングおよび軌道計画法が有効かつ実現性を有するものであることを確認した.
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