研究概要 |
本研究では, 多種多様な製品を流れ系列的に処理する単純セル生産システムを対象とする. そして, 本システムに単純な知能を有したロボットを群として投入し, 各ロボットが必要な情報を他のロボットと共有することで, 変動するシステムの非定常な状況に対してリアクティブに行動を切替えながら作業を遂行するシステム, すなわち, 多品種変動生産対応型の群知能ロボットシステムを開発する. さらに, 群知能ロボットシステムの産業応用として, 化学プロセス産業におけるパイプレスバッチプラントに適用し, 本システムの実システムに対する適用の可能性について示す. 上述の目的に対して, (I)単純な知能を有する自律群ロボットシステムの開発, (II)群知能ロボット型のロバストな生産システムの構築, (III)群知能ロボット型生産システムの有効性の検証, (IV)実システムへの適用, の4項目をマイルストーンとし, これらを達成すべく研究を遂行する. これらのうち, 平成20年度では, (III)と(IV)の項目に注力してきた. そして, 提案したロボットのリアクティブ行動則の有効性を検証するため, ヘテロジニアスな群知能ロボット型生産システムを計算機シミュレーション上で構築し, タスクの変動に対して, 異種ロボット間での協調行動の有効性を示した. また, 群知能ロボットシステムの産業応用として, パイプレスバッチプラントを想定し, 容器搬送機械ならびにプロセス装置群の知能化, 作業遂行のための効率的な行動則の開発を行った. シミュレーション実験を通じて, 群知能ロボットシステムの産業応用への可能性が示された. この結果は, ロボットによる最先端自動化技術に対して大きな影響を及ぼすものと考えられる.
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