研究概要 |
本年度は,マイクロチップ内における局所環境計測を目的として,レーザによる非接触操作手法である光ピンセットにより駆動する計測プローブの作製と評価,及びプローブのマイクロチップ内への局所投入方法に関して研究を行った.計測プローブとして,内部にpH指示薬を内包したpH計測用のゲルツールや温度感受性を有する蛍光色素を内包した温度計測ゲルツールを作製した.単独の指示薬の利用では困難な広範囲でのpH計測や温度やpHといった複数の環境要素の同時計測を実現するため,一定濃度の電解質溶液中における局所UV照射を用いて異なる指示薬を内包するゲルツールの組み立てにより複数環境計測ゲルツールを作製しマイクロチップ内の局所環境計測を実現した.また電解質溶液中における局所UV照射により計測ゲルツールをマイクロチップ底面の固定し,センサアレイの構築に成功した.複数のゲルツールを組み立てによる任意の形状の計測プローブとして中央に穴を有する円形状にゲルツールを組み立て,中央に細胞を設置し細胞周りの局所環境計測を行った.計測をマイクロチップ内に必要な時に局所的に投入する局所投入法としてゲルツールの材料であるポリエチレングリコールの非特異吸着を抑制する性質を用いて,マイクロチップ底面に加工した微小溝への局所導入と光ピンセットによる操作により選択的な計測ゲルツールの局所投入を実現した. 本年度で実現した技術では大きさ数μmの環境計測用ツールをマイクロチップ内で自在に操作しまた目的に応じた形状への組立が可能であり,また計測ゲルツールのマイクロチップ内への局所的な投入が可能であるため,本研究課題が目的とするマイクロチップ内の微小閉空間における局所環境計測を実現するための要素技術の構築できたと考える.
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