研究概要 |
腹腔鏡下手術及び内視鏡下手術といった低侵襲な手術法において, その高度医療技術を広く普及させ, かつ医師の高い技術レベルを維持する為には, これらの手術に対する訓練システムを構築することが必要不可欠である. また, 正しく訓練を行うためには, 手術中の術者の全ての手技を正しく記録し, かつ, その場であるいは後日正しく検証することのできる装置を開発する必要がある. この様な「手術工程記録システム」を構築するためには, 1) 外力を検出することの出来る「手術手技データ記録鉗子」, と2) 操作者に力覚を伝達する「力覚提示装置」, の開発が不可欠である. 今回は, 両者の特徴を併せ持つ「力覚測定・提示装置」の開発を行った. これは以前の「手術手技データ記録鉗子」と同様のシステム構成ではあるが, 位置を計測する装置にリニアアクチュエータを用いることで, 同じ装置を用いて力覚を提示できるようにしたものである. 操作者が加えた力を計測することのできる力覚センサに加え, ジャイロや加速度センサを操作部に取り付ける事で, 運動部における位置・速度・力などの必要な生体の力覚情報は全て計測しながら同時に記録できるようになっている. また記録された情報は, その場であるいは後目検証することができるようになっている点は全く同一である. 記録されたデータを同じ装置を使って力覚教示を行うことが可能となったため, 実際の生体における力覚特性と, 訓練装置を使った力覚教示の差を実感することが容易となり, 正しい動作を教示する必要のある訓練装置としては, より適切なシステム構成となった.
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