研究概要 |
本研究では,真空沿面放電の前駆現象である絶縁物表面に流れる暗電流を真空環境下で測定するシステムを構築することと、絶縁体上における帯電の発生から緩和過程をリアルタイムに測定することを目的としている。 平成19年度は、真空中における絶縁体表面上の暗電流を測定する専用の実験チャンバと測定システムの構築を行った。この装置により、真空環境下で最大8個のサンプルをin-situで測定することが可能である。また、絶縁体の表面抵抗や体積抵抗を測定するために、電流は10^<-2>A〜10^<-14>Aまでの測定が真空環境下から大気圧下まで測定ができることを確認した。本年度は、この装置の組立後に試験サンプルとして、真空中における代表的な絶縁材料であるアルミナセラミックスの表面抵抗率と体積抵抗率の測定を行った。また、それ以外の複数を絶縁材料(ガラス類、有機系絶縁物、塗料など)についても測定を行った。その結果、ほとんどの絶縁材料の体積抵抗率は、大気中と真空中において変化がなかったが、表面抵抗率においては、真空中の値が大気中のものと比べて数十倍〜数千倍に上昇することが明らかになった。 また、本実験装置の特徴として、表面抵抗率や体積抵抗率の大気圧から10^<-2>Pa程度までの圧力依存性の測定も行った。
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