研究概要 |
磁気軸受とモータの機能を一体化したベアリングレスモータは, 磁気浮上による非接触駆動という長所を活かし, 近年, 遠心ポンプ式補助人工心臓(以下, 人工心臓), 半導体プロセス用ポンプなどへ応用されている. 中でも, 非接触駆動式の人工心臓は, 高耐久性, 低血液ダメージという特徴を有し, 心臓病患者の血液循環補助という本来の使用目的のみならず, 再生医療と組み合わせた治療法への応用として脚光を浴びている. 本研究では, 小型(特に, 極薄型)・高剛性・低消費電力のベアリングレスモータの実現を目的としている. 本年度の研究結果を以下に示す. (1) 極薄型ベアリングレスモータの試作 ・昨年度設計したインナーロータ型のベアリングレスモータの試作を行った. C形形状の固定子コアを使用しているため, コイルエンドが半径方向に広がり, 高さの低減を実現した, 具体的なサイズに関して, 固定子のコイルエンドを含めた外径は約70mm, 高さは10mmである. また, 回転子の外径は46mm, センサターゲットを含めた高さは16mmである. 従来報告されているベアリングレスモータと比較して, 十分な薄形化を実現した. (2) 試作ベアリングレスモータの磁気浮上の実現 ・PID制御により, 提案したベアリングレスモータの回転子の磁気浮上を確認した. Orpmでの回転子の半径方向変位は0.O1mm以下であり, どの回転角度においても安定な磁気浮上を実現した. (3) 非制御方向の剛性の比較 ・提案するベアリングレスモータは, 回転子の半径方向運動を制御する2自由度制御型である. 軸・傾き方向は, 回転子と固定子問の磁気カップリングにより受動的に安定となる. 計測した軸. 傾き方向剛性は, それぞれ7.8N/mm(解析目標10N/mm), 2.0Nm/rad(解析目標2.5Nm/rad)であり, 人工心臓として十分な剛性を得られた.
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