本研究は強誘電体Pb(Zr ・ Ti)0_3製の圧電トランス(PT)を用いた小型プラズマ発生器と駆動用電源の開発を行い、その動作特性と応用について検討を行うものである。本年度はPT型リアクタ駆動用電源ならびにPTの並列運転型オゾン発生器の開発、次年度に使用する真空排気装置を構築した。 PTを用いた誘電体バリア放電(DBD)型オゾン発生器の開発では、2枚のPTの並列運転と放電ギャップ長を0.3 mmと短ギャップ化したことで、最大オゾン濃度39 g/Nm^3、オゾン収量1. 26 g/hを得た。これらは以前に報告したPT単独運転型オゾン発生器の結果と比較してそれぞれ1.9、1.8倍高い数値であり、PTの並列運転によりオゾン発生器の高出力化が可能であることを示した。また、上記の検討を行った過程で、オゾン生成特性がリアクタ内部に使用する誘電体電極材料に大きく依存する結果を得たので、その要因についても同時並行で検討を行っている。これらの成果を第17回日本オゾン協会年次研究講演会、2007年7月にチェコ共和国で開催された第28回電離気体現象国際会議、電気学会プラズマ/放電合同研究会、平成20年電気学会全国大会において発表し、現在その一部を論文にまとめている。 PT型リアクタの駆動用電源については、前述のオゾン発生器の実験により得られた結果から仕様を決定しながら開発を進めた。信号発生用ICやPICマイコン等を組み合わせたフィードバック制御により、PTの共振周波数を自動追従できる駆動用電源の開発に成功した。更に、必要な機能のみを組み込んだことで、従来から使用してきた既製品の信号発生器と電力増幅器を組み合わせた電源システムより小型のものとなった。現在、本駆動用電源を用いてオゾン発生器を動作させ、共振周波数の自動追従を行った際のリアクタの動作特性について検討している。
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