ダイヤモンド超伝導体ジョセフソン接合の作製を目指し、高濃度ボロン添加ダイヤモンド薄膜の作製および微細加工プロセスの確立を試みた。 マイクロ波プラズマCVDを用いた高濃度ボロン添加ダイヤモンド薄膜作製に関して、Si(100)およびダイヤモンド(100)、(111)基板上でダイヤモンドライクカーボン等の不純物抑制とダイヤモンド成長を両立させる条件として投入電力500W、CH_4濃度2%、C/H比1500ppmが適していることが確認された。また、デバイス作製に向けたダイヤモンド薄膜の微細加工としてO_2プラズマRIEおよびFIBを用いたダイヤモンド(100)基板のエッチングを試み、高さ約500mmを有する明瞭なステップ構造および2.8nm/minのエッチレートが確認された。この結果はジョセフソン接合形成に向けて極めて現実的なものであり、O_2プラズマRIEおよびFIBを用いたダイヤモンド微細加工プロセスがほぼ確立された。 上記実験条件の下、厚さ3μmを有する高濃度ボロン添加ダイヤモンド薄膜を作製し、4端子法による抵抗-温度測定の評価を行った結果、約4Kでの明瞭な超伝導転移を確認した。今後は試料の超伝導転移温度の向上と更なる薄膜化といったジョセフソン接合作製プロセスに適した試料作製が求められる。 以上の結果より、本研究課題が掲げる超伝導ダイヤモンドジョセフソン接合実現に向けた高濃度ボロン添加ダイヤモンド超伝導薄膜作製および微細加工プロセスの基礎はほぼ確立されたものと言える。
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