有機金属錯体である、トルエン希釈1%La(TMOD)3を用いたMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)により、Si基板およびPt上にLa2O3膜を形成する技術を確立した。 原料であるLa(TMDO)3は、固体材料であるが、吸湿性が非常に高く、固体での取り扱いが困難であるため、トルエン溶液を気化することで、安定供給する技術を確立した。Pt(〜50nm)上に基板温度300℃、酸素雰囲気(10Pa)にて成膜し、X線光電子分光(XPS)により評価した結果、成膜時間に応じて酸化膜起因のピーク強度が大きくなっており、膜厚の増大が観測できるのに対し、酸素導入しない1Pa減圧下にて、基板温度100℃および200℃で成膜した場合には、ピーク強度は変化せず、膜厚は一定であると考えられる。また、角度分解XPSにて、表面敏感で評価を行った結果、表面はCOxHyで終端されていることが示唆された。さらに、飽和吸着したLa酸化膜を150℃以上の温度で酸素アニール(02-PDA(Post Deposition Anneal)を行うことにより、COxHy層に起因したピークが顕著に減少するため、成膜と酸素アニールの繰り返しを行うことで、原子層制御の可能性が高いことが分かった。
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