金属/酸化物界面における研究において界面の影響を議論するためには基本となる酸化物の材料との界面を同一条件で形成することが重要な要素となる。そのための手法として金属合金を原子レイヤー単位で成長制御し同一基板上に種々の組成の合金薄膜を形成する金属薄膜用コンビナトリア装置を開発した。これにより界面の効果を議論可能な同一条件下で系統的な試料の作製を実現した。当該年度においては、酸化物と金属間接合における欠陥状態の解析と電気特性制御に実施した。具体的には、金属/酸化物界面の電気特性制御とその構造評価を行った。また技術応用の検討として金属/酸化物界面を有するSchottky接合型のZnOベースの紫外光、水素応答の検討を行った。 Schottky接合の電極材料としてPt-Ru合金を用いた。基板として極性制御が可能なZnO基板の+極性面と-極性面を使用した。X線の構造解析によりZnO基板上に合金状態で成長しており、その成長はZnO基板に対して成長方位の依存性を示しエピタキシャル成長していることを確認した。表面観察の結果と併せることによりRu濃度20%前後のPt合金が結晶性と良好な表面状態を実現する組成であることを明らかとした。これらから金属薄膜の結晶面方位の影響を除いてその電気特性(ショットキー障壁)が連続的に変化することを確認した。またその光応答は種々の波長を照射した際に紫外線領域においてのみ応答を示し、Pt-Ru合金によるSchottky接合において紫外線センサーとしての機能を確認した。さらに放射光の測定により-極性面において酸化が促進されていることを確認した。当該年度においてセンサー素子での実証と電子デバイスとしての可能性を確認することができた。
|