本研究では、次世代光通信システムにおいて鍵となる光ルータの実現に向けて、入出力ポート数の拡張に対してスケーラブルな「フェーズアレイ型1×N光スイッチ」を新たに提案し、研究開発を進めている。本スイッチは、入力信号光の光位相をアレイ状に配置した半導体光位相変調器で制御することで所望の出力ポートに結像させるものであり、従来手法と異なり、伝搬損失を許容範囲に抑えたままポート数の大規模化が可能である。 平成19年度は、デバイスの理論計算・設計手法を構築し、従来のツリー構造光スイッチに比べて、実際に優位なスケーラビリティを有することを理論的に示した。また、1×5半導体光スイッチの試作に初めて成功し、10ns以下の高速スイッチ応答、10dB以上の消光特性、80nm以上の超広帯域性など、基本性能を実証した。これらの成果は、本スイッチが超広帯域波長多重光パケットスイッチに適用できることを示唆しており、大いに意義がある。 平成20年度は、本成果を更に発展させ、1×8以上の大規模光スイッチの実現、およびシステム検証を行う予定である。
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