本研究では、次世代光通信システムにおいて鍵となる光ルータの実現に向けて、入出力ポート数の拡張に対してスケーラブルな「フェーズアレイ型1×N光スイッチ」を新たに提案し、研究開発を進めている。本スイッチは、唾入力信号光の光位相をアレイ状に配置した半導体光位相変調器で制御することで所望の出力ポートに結像させるものであり、従来手法と異なり、伝搬損失を許容範囲に抑えたままポート数の大規模化が可能である。これまでに、デバイスの理論計算・設計手法を構築し、従来のツリー構造光スイッチに比べて、実際に優位なスケーラビリティを有することを理論的に示した。 また、1×5半導体光スイッチの試作に初めて成功し、10ns以下の高速スイッチ応答、10dB以上の消光特性、80nm以上の超広帯域性など、基本性能を実証した。 平成20年度では、これらの成果を更に発展させ、1×8の低偏波依存光スイッチの実証、および1×16光スイッチの試作に初めて成功した。さらに、1×5光スイッチを用いた320Gbps大容量光パヶットスイッチング実験にも成功した。 これらの成果より、本スイッチのスケーラビリティが明らかになったと同時に、大容量波長多重光パケットスイッチへの適用可能性が実証された。
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