チップ間光インターコネクションを行うためには、電子デバイスと光デバイスとをチップ内に集積する必要があり、そのための技術開発が急務となる。本研究は、これまで半導体レーザとして実績のあるIII-V族化合物半導体(GaInAsP/InP)をSOI基板に直接貼り付けることによりシリコンLSI上での集積化に適した単一モード半導体レーザの実現を目指すものである。本年度得られた結果は以下の通りである。 (1)CH_4H_2-RIEによるエッチングにおいて、活性層上部からのプラズマのダメージの存在を光励起測定(PL)によって示し、その改善策として上部光閉じ込め層、(上部OCL)を従来の40nmから80nmと厚膜化する方法を提案した。その評価として上部OCLが40nmと80nmの量子井戸レーザを作製し、電流注入測定(EL)によってその電流-光出力を測定し、比較することにより、内部量子効率(ηi)が53%から75%に改善されることを確認した。これらの結果より、CH_4/H_2-RIEによる活性層上部からのダメージを低減するためには、元基板構造において上部層を従来構造よりも40nm厚膜化した構造が有効であることを示した。 (2)半導体薄膜レーザは、薄膜構造のため電流注入構造の作製が困難であり、これまでは光励起でのみの動作であった。今回n-InP層のみを薄膜化したGaInAsP/InP-DFBレーザをSOI基板上に水素雰囲気中での直接貼付法を用いて作製した。ストライプ幅25μm、共振器長1mmの素子において室温パルス条も件下でレーザ発振を実現し、しきい値電流104mA、発振波長1543nm、副モード抑圧比28dBを得た。
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