ホログラフィックメモリにおけるデータ消去・書換え機能の実現のための新たな光学系を提案し、より大面積・高精細なデータページの選択的消去を可能とした。申請書に記載のDouble Mach-Zehnder干渉光学系を用いた場合のホログラム記録・消去・書換え性能について詳細に実験的・理論的検討を行う過程において、1/2波長版と偏光ビームスプリッタを利用した光学系を用いることで更に高精度な多重ホログラムの選択的消去が簡易・小型の装置で行えることを見出し、FeドープLiNbO_3結晶と波長532nmの半導体励起固体レーザを用いて実験を行った。これまでの光学系では大面積・大容量のデータページ情報を持つホログラムを均一に消去することは比較的困難であったが、この新たな光学系を用いることで消去性能が大幅に改善されることが明らかとなった。現在のところ物体光内の光強度分布を均一にし、また、ホログラムの記録・消去時間を最適化することで、100×80ビットのデータページ情報を持つ記録ホログラムをページ全体にわたってムラ無く消去することに成功している。ホログラムの記録・選択的消去・書換え操作に関する実験結果はこれまではホログラムの回折効率等で評価していたが、現在は記録・消去後の領域に新たに記録されたデータのビットエラーレートを評価指針として採用し、100〜500枚程度多重記録された高精細なデジタルデータページのホログラムの選択的消去・更新実験に取り組んでいる。
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