研究概要 |
初年度(H19)に高精度かつ簡易・小型な多重ホログラムの選択的消去の実現を目的とし新たに考案した, 1/2波長板と偏光ビームスプリッタを利用した光学系を用い, フォトリフラクティドープブ結晶LiNbO_3結晶)内の多重データページ(100×80ビット)の繰り返し書換え特性について, 詳細に実験的検討を行った. ホログラムの記録・選択的消去・書換え特性については初年度まではホログラムの回折効率等で評価していたが, 記録・消去後の領域に新たに記録されたデータの信号対雑音比(SNR)とビットエラーレート(BER)を新たに評価値として採用し, データページ内部位ごとの消去・書換えムラ等も反映した定量的評価を可能とするシステムを構築した. データページの消去・書換え自体はほぼエラー無く実行可能となったが, 同一箇所に多重記録されている書換え対象外ページのホログラムが徐々に減衰しSNRおよびBERが劣化することが書き換え回数を制限する主要因となることを明らかとした. 減衰したホログラムに対して同相のホログラムを上書きし増強する光学的リフレッシュの適用などにより再生データページのSNRを維持しビットエラーの発生を回避する必要があると考えられる. さらに, より大容量なホログラフィックメモリシステムにおいては, 多重ホログラム領域を空間的に並べて配置する空間多重も併用されるが, この場合の多重ホログラム記録再生・消去・書換え精度を向上するための新たなホログラム多重記録方式も提案し, 実験によりこの方式の有用性を示した.
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