効率よい結石破砕のため、Er:YAGレーザ光(波長2.94μm)とHo:YAGレーザ光(波長2.1μm)の同時伝送システムを考案したが、ハイパワーレーザ光の安定かつ低損失な伝送が困難であった。本研究では、有機樹脂膜内装銀中空ファイバに代わる超高耐久性を有する無機薄膜内装銀中空ファイバの製作を行い、下記の研究を行った。 1.任意赤外波長用無機薄膜内装銀中空ファイバの製作 ガラスキャピラリーチューブ(内径0.7mm、長さ30cm)内部に、全液相法を用い銀膜と無機薄膜の成膜を行い、無機薄膜内装銀中空ファイバの製作を行った。目的のレーザ波長帯で低損失な中空ファイバを実現するため、成膜法の検討を行い、無機膜の均一な成膜に成功した。 2.2波長破砕中空ファイバの設計と製作 衝撃波破砕用Er:YAGレーザ光とHo:YAGレーザ光を低損失に同時伝送を行うために、幾何光学的手法を用いて無機薄膜の最適膜厚を求め、その膜厚は0.3μmと分かった。内径0.7mm、長さ2mの銀中空ファイバに膜厚0.3μmの無機膜を成膜し、2波長(Er:YAGレーザ光とHo:YAGレーザ光)伝送用中空ファイバの製作を行った。製作した中空ファイバの伝送特性(Er:YAGレーザ光)は、直線状態で1.1dB、曲げ状態(曲げ半径10cm、曲げ角280°)で2.2dBとなり、十分使用可能な無機薄膜内装中空ファイバの製作に成功した。 3.任意赤外波長帯伝送用無機薄膜形成材料の調査 無機薄膜形成材料に適した材料の調査を行い、滅菌処理に耐え、銀膜との付着力が強く、均一な膜厚を成膜可能な2液湿気硬化型無機塗料の0C300クリヤーを選択した。
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