効率よい結石破砕のため、Er : YAGレーザ光(波長2.94μm)とHo : YAGレーザ光(波長2.1μm)の同時伝送システムを考案したが、ハイパワーレーザ光の安定かつ低損失な伝送が困難であった。本研究では、有機樹脂膜内装銀中空ファイバに代わる超高耐久性を有する無機薄膜内装銀中空ファイバの製作を行い、下記の研究を行った。 1. 高耐久性無機薄膜内装銀中空ファイバ伝送装置の構築と評価 ZnSeのビームスプリッターを用いて、Er : YAGレーザ光とHo : YAGレーザ光を同じ光軸にし、無機薄膜内装銀中空ファイバに2波長レーザ光を入射するシステムを構築した。伝送装置としての問題点として、内径0.7mm以下になると2波長赤外レーザ光を効率よく入射することが難しく、細径中空ファイバのために入射結合器が必要となると思われる。 2. 2波長破砕用無機薄膜内装銀中空ファイバの結石破砕への応用 予備実験では、腎結石は成分によって、Er : YAGレーザ光のみでは破砕しにくいことが分った。高耐久性無機薄膜内装銀中空ファイバを用いて、Ho : YAGレーザとEr : YAGレーザによる複合破砕効果による効率よい結石破砕の基礎実験を行った。高出力のEr : YAGレーザ光は結石の切削機能が高いが、結石の移動が大きく、連続して結石にレーザ光を照射することが困難である。Er : YAGレーザ光とHo : YAGレーザ光の照射条件については、繰り返し周波数を変えて破砕実験を行った。Er : YAGレーザ光の出射エネルギーを100mJ、繰り返し周波数を5Hzにし、Ho : YAGレーザ光(出射エネルギー100mJ、繰り返し周波数10Hz)を同時に照射することで、結石の移動を抑え、安定して細かく砕石できた。
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