研究概要 |
本研究では, 情報漏洩対策を施した超音波ICカードにおける伝送距離特性の改善策として生体を伝送路とした"ウェアラブルシステム用超音波通信システム"の基礎開発を主日的としている. ウェアラブルシステムの形態としては, 腕時計型を想定しているおり, 指・手のひら-手首・腕部間を超音波による通信を行う. 本年度は試作機の改良と多重化による通信について取り組んだ. 前者については, 昨年度まで得られていた情報伝送速度(115.2kbps)を2倍程度(250kbps相当)に高速化させ, ウェアラブルシステムに適した小型形状を維持しつつ, これまでの送信機能に加えて受信機能も追加し, 2台の試作期間での双方向通信に成功した. また, 昨年度の課題であった電源についても, ボタン電池(3V)1個を昇圧することにより駆動可能とした. 後者については, 発振器・計測器制御プログラムを用い, 信号の多重化を行い, 模擬実験を行ったところ, 8ビット情報の多重化信号の生成および復調を可能とするシステムを構築し, 超音波振動子を用いた通信実験に成功した。ただし, 使用したソフトウェアはウィンドウズアプリケーションであるため, リアルタイム処理には不向きであるが, 実験結果を元にリアルタイム処理が可能であった場合を想定し試算してみたところ, 現状で普及している電磁波型ICカードと同等(約200kbps)かそれ以上の通信速度が算出された. 次年度はこれらの結果を受けて, 試作機については実用を想定したシステム構築を行い, 多重化通信についてはリアルタイム処理可能なシステムへの変更について取り組む予定である.
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