研究概要 |
本研究では,情報漏洩対策を施した超音波ICカードにおける伝送距離特性の改善策として生体を伝送路とした"ウェアラブルシステム用超音波通信システム"の基礎開発を主目的としている.ウェアラブルシステムの形態としては,腕時計型を想定しているおり,指・手のひら-手首・腕部問を超音波による通信を行う. 本年度はまず,最終年度を迎えるにあたり,研究の方向性を再確認した.その際これまで研究を続けてきたシステムにおいて,送信信号に超音波の他に微弱な電界が混在していることが明らかになった.そこで,超音波発生に伴い付随的に生じた電界についても積極的に利用し,両者を併用するシステムへの拡張を検討した.具体的には,超音波通信と電界通信のそれぞれに課題を設け,取り組んだ.超音波通信については,超音波のみによる人体通信の条件を把握し,超音波送受信機を新たに設計・製作し,超音波のみによる人体通信に成功した.電界通信については,ワイヤレスヘッドホンをモデルとしたより実用的な試作機の製作を行い,一人から複数人間の通信に成功した. 今後は,これまでの成果を基に,平成22年度より3年間の予定で新たに採択された同研究補助金にて,生体を伝送路とし,1つのデバイスから出力される超音波と微弱電界の併用により,従来手法と比較してセキュリティ及びユーザビリティを向上させた"ウェアラブルデバイス用ハイブリッド通信システム"の開発について取り組む.
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