研究課題
1Tbit/in^2以上の面記録密度における熱安定性の確保と記録磁界の低減の両立のために、次世代型記録媒体としてビットパターン媒体が期待されている。この媒体では微細磁性ドットを25nm以下の周期で規則的に配列する必要があり、半導体プロセスをも凌駕するためにこれまで実現されていなかった。そこで、昨年度までに、微細なドット形成のために超高解像度を有する電子線レジストの使用が、磁気的ダメージ低減のために軽元素かつ低エネルギーイオンを用いたエッチングプロセスが有効であることを実験的に確認した。本年度は、1)上記の微細ドット作製プロセスを用いた1 Tbit/in^2相当の磁性ドットアレイの作製および磁気特性評価、2)1 Tbit/in^2以上のパターン媒体実現に向けた媒体設計指針の検討を行った。その結果、以下の知見を得た。1)記録層磁性材料に用いたCopt膜と電子線レジストであるカリックスアレンの膜厚を、エッチング選択比および磁気特性の観点から最適化することにより、17nm径のCoPtドットを25nm周期で規則配列することに成功した。また、高分解能磁気力顕微鏡観察とSpring-8放射光を用いた顕微磁気円二色性測定によりドットアレイの磁気特性評価を行った結果、ほとんど磁気的ダメージがないことがわかった。さらに1 Tbit/in^2以上の面密度においては、反転磁界分散に対する静磁気相互作用と磁性膜そのものの磁気特性の面内分布の寄与が大きいことを実験的に確認することができた。2)熱安定性および記録性を低下させる反転磁界分散を低減するための一つの手法として、エッチング時間によりドット間残膜を制御することでドット間交換結合の導入を提案した。磁気特性評価の結果、ドット間交換結合力が大きくすると熱安定性を低下させることなく記録磁界のみを低減できることがわかった。
すべて 2009 2008
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J.Magn.Magn.Mater. 320
ページ: 3157-3160
IEICE Tech.Rep MR2008-19
ページ: 1-6