研究概要 |
本研究では,屈折率が負になるDNG媒質(Double NeGative)の効率的な構造の開発を目的とし,平成19年度は大型計算機(課金制)を用いた数値シミュレーションを中心に,本研究で目的とするDNG構造実現のための基礎検討を行った. DNG構造は等価回路であらわすとインダクタンスLとキャパシタンスCの並列接続ということは分かっているので,シミュレーションにより,どのような平面構造で効率よくインダクタンスLとキャパシタンスCが作れるかを検討した.シミュレーションにはFDTD法を用いたが,FDTD法は精度が低いことが分かったので,これを改善する方法について検討を行った.その成果を,カナダで行われた国際会議にて発表した.また同時に,従来は平面構造でインダクタンスLを作るスプリットリングとタヤパシタCを作るワイヤーを誘電体表面に作成していたが,これを簡単な球体の組み合わせに置き換える方法に注目した.これは,従来とはまったく違った構造で, DNG構造を実現する手法である.この構造を用いて実際にシミュレーションを行った.その結果,ある角度からの入射においては,本研究で目的とするDNG構造が実現できることがわかった.今後はこの構造に注目し,本研究で目的とする簡便なDNG構造の実現を検討して行く.また,まったく新しいメタマテリアルの解析方法としてCIP法に注目した.これは, FDTD法のように差分に基礎を置く方法ではなく,補間に基礎を置く方法である.この方法を用いて,いくつかの媒質を解析する方法を発表した.
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