研究概要 |
平成20年度は, アレー補間とキャリブレーションの関連, 拡張を検討し, キャリブレーションを包含する形でアレー補間の理論を展開していくことを目的としていた. 当初予定していた課題に対して一定の成果を得たことに加え, 関連した研究課題として, アレー受信信号の位相情報に着目した電波伝搬環境推定技術に関する種々の成果を得ることができた. まず, アレー補間の理論および電波伝搬環境推定性能に関して, 新たな手法として提案されていたConjugate ESPRIT法が, 空間平均法の特殊な場合と同等であることを数学的に証明した. さらに, アレー補間から発展した形でブラインドキャリブレーション技術に関する検討を行い, この技術の推定精度が既存のMUSIC法よりも高精度であることを実験的に検証した. さらに, 関連した研究課題として, アレー受信信号の位相情報に着目した電波伝搬環境推定技術に関する検討を行い, 位相情報とその微分およびフェーズアンラッピング法を用いることで有用性が増すこと, さらに, 振幅情報を排除した位相相関を採用することでより高精度な推定が可能となっていることを確認した. このように, 本研究では, 平成20年度に予定していた課題の検討を終え, さらに, 昨年度後半から関連研究課題として検討している位相情報を利用した手法についても多くの成果を上げており, 今後のさらなる発展が期待できる.
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