研究概要 |
本研究の目的は,超広帯域(UWB:Ultra Wideband)無線システム用受信機の更なる小型化のために,従来は受信機で利用される等化器を送信機側に実装した,低コスト・高速信号処理が可能な光信号処理デバイスの一つである標本化ファイバブラッググレーティングによる高機能・高速動作が可能なトランスバーサル型プレフィルタの実現である。 初年度では,標本化ファイバブラッググレーティングを用いたプレフィルタ用の設計やモデル化,パラメータ設計についての理論検討ならびにモード結合法による数値計算での検討を主に進めた。得られた知見を元に,パルスシェーピングフィルタとして用いた標本化ファイバブラッググレーティングとバランス型光検出器を組み合わせたUWBパルス生成器について検討し,3dB帯域幅7GHz,中心周波数20GHz,パルス幅約150ピコ秒のUWBパルスが生成できることを実験的に示した。また,本学において電波暗室と広帯域アンテナの利用が可能となったことから,無線伝送を行ったときの性能評価についても検討した。実際に,数百M〜数Gbpsの高速UWB無線伝送が実現できることを示した。さらに,送信アンテナからの放射信号は米連邦通信委員会(FCC:Federal Communications Commission)規範や電波法によりスペクトルマスク以下の電力制限を受けるが,送信電力スペクトルを知るには送信アンテナの詳細な特性が必要なことから,短光パルスを用いたアンテナ特性・送信電力の推定法についても検討した。
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