研究概要 |
本研究の目的は, 超広帯域(UWB : Ultra Wideband)無線システム用受信機の更なる小型化のために, 従来は受信機で利用される等化器を送信機側に実装した, 低コスト・高速信号処理が可能な光信号処理デバイスの一つである標本化ファイバブラッググレーティングによる高機能・高速動作が可能なトランスバーサル型プレフィルタの実現である. 本年度では, 前年度において理論検討並びに数値計算による検討で得られた知見を元に作製したプレフィルタ用の標本化ファイバブラッググレーティングをトランスバーサル型パルスシェーピングフィルタとして用い, 24GHz帯UWBパルス生成について実験的に検討した. 本フィルタは, 2つの標本化ファイバブラッググレーティングとバランス型光検知器で構成され, 所望のUWBパルスの正と負の振幅部分を分けて, それぞれの波形を出力するよう設計された2つの標本化ファイバブラッググレーティングにより入力された光パルスを波形整形することでほぼ全ての信号処理を光領域でおこなえるため, サンプリング周波数が数十GHzという高速動作が可能となる. 実際に作製した, タップ間隔約38ピコ秒, タップ数5の標本化ファイバブラッググレーティングを用いて, 半値全幅約30ピコ秒の光ガウシアンパルスを本フィルタに入力すると, 中心周波数24.7GHz, -10dB帯域9.4GHz, パルス幅約200ピコ秒のUWBパルスが生成できることを示した.
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