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2009 年度 実績報告書

揺動外力による非線形ダイナミカルシステムの同期と制御

研究課題

研究課題/領域番号 19760253
研究機関京都大学

研究代表者

中尾 裕也  京都大学, 大学院・理学研究科, 助教 (40344048)

キーワード非線形振動 / 同期現象 / 自己組織化 / 統計力学 / 数理工学
研究概要

単一の動的システムに、弱い揺動外力の同一の時系列を繰り返し与えると、出力の再現性が向上する場合があることが知られている。また、複数の結合していない同等な動的システム群に共通の弱い揺動外力を与えると、それらが同期する場合があることも知られている。この種の現象は、電気回路、レーザー発振、神経細胞、さらには生態学における個体数の変動等、非常に広範な対象に共通に見られるものであり、普遍的なメカニズムの存在が予想される。このメカニズムを理解するために、非線形な動的素子の典型例であるリミットサイクル振動子等に共通の外力を与えた系に対して、ノイズを受けた力学系を記述する確率微分方程式の手法と、非線形振動子の解析手法である位相縮約法を用いて再詳細な解析を行った。これにより、弱い揺動外力を受けたリミットサイクル振動子は、その詳細によらず一般に、常に再現性の向上、あるいは同期現象を示すことを明らかにした。その際再リミットサイクルの摂動に対する位相応答関数が本質的な役割を果たすことを示し、それが満たすべき条件を一般的な形で得た。今年度は特に、リミットサイクルがインパルスに駆動される状況に対して、インパルスが単純に周期的に与えられる場合とランダムなPoisson過程により与えられる場合を比較するため、それらを連続的につなぐガンマ分布に従うインパルスを考え、周期外力への引き込みからPoissonインパルスによるノイズ同期への転移を解析した。また、素子がリミットサイクルではなく周期性の強いカオス振動子の場合への理論の拡張を試みた。さらに、関連する問題として、白色ガウスノイズを受けるリミットサイクル振動子の厳密な位相縮約に関する数理的な話題や、ネットワークを介して相互作用する非線形振動子群のダイナミクス、特にその集団振動に外力の与える影響の定量化に関する理論的解析を発展させた。これらの結果は実世界の多彩な非線形系におけるコヒーレントな動力学を理解する上で重要だと考えられる。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2010 2009 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Self-organizing timing allocation mechanism in distributed wireless sensor networks2009

    • 著者名/発表者名
      Hisa-aki Tanaka, Hiroya Nakao, Kenta Shinohara
    • 雑誌名

      IEICE Electronic Express (ELEX) 6

      ページ: 1562-1568

  • [雑誌論文] 解説「非線形振動子の位相縮約理論とその応用」2009

    • 著者名/発表者名
      中尾裕也
    • 雑誌名

      システム/制御/情報 53

      ページ: 316-322

  • [雑誌論文] Collective dynamical response of coupled oscillators with any network structure2009

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Kori, Yoji Kawamura, Hiroya Nakao, Kensuke Arai, Yoshiki Kuramoto
    • 雑誌名

      Physical Review E 80

      ページ: 036207(1-9)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Stochastic phase reduction for a general class of noisy limit cycle oscillators2009

    • 著者名/発表者名
      Jun-nosuke Teramae, Hiroya Nakao, G.Bard Ermentrout
    • 雑誌名

      Physical Review Letters 102

      ページ: 194102(1-4)

    • 査読あり
  • [学会発表] スケールフリーネットワーク上の結合振動子系のダイナミクス2010

    • 著者名/発表者名
      中尾裕也
    • 学会等名
      ネットワークダイナミクス研究会(電子情報通信学会 非線形問題研究会)
    • 発表場所
      上智大学
    • 年月日
      2010-03-09
  • [学会発表] Self-organization of non-uniform dynamical patterns in complex networks of diffusively coupled oscillators2010

    • 著者名/発表者名
      Hiroya Nakao
    • 学会等名
      Dynamics Days 2010
    • 発表場所
      Evanston (Illinois), USA
    • 年月日
      2010-01-06
  • [学会発表] gammaインパルスに駆動される非線形振動子の同期現象-位相ロックからノイズ同期へ-2009

    • 著者名/発表者名
      秦重史*, 中尾裕也
    • 学会等名
      電子情報通信学会 非線形問題研究会
    • 発表場所
      屋久島環境文化村センター
    • 年月日
      2009-11-13
  • [学会発表] ガウスノイズを受ける非線形振動子の位相縮約2009

    • 著者名/発表者名
      寺前順之介*, 中尾裕也, G.B.Ermentrout
    • 学会等名
      日本物理学会 2009年秋季大会
    • 発表場所
      熊本大学
    • 年月日
      2009-09-27
  • [備考]

    • URL

      http://www.ton.scphys.kyoto-u.ac.jp/~nakao/papers.html

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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