研究課題
本研究では、自然界に見られる複雑で多種多様な時系列データを非線形発振器などで構成されたネットワークを用いて予測を行うことが最終的な目的である。昨年度、カオス時系列データの予測に成功したvan der Pol発振器をインダクタで格子状に結合したシステムを用いて、今年度は、広島市の気温データの予測を行なった。このシステムでは、上記発振器のネットワークから求められる回路方程式を正規化した連立微分方程式を用いる。この方程式をRunge-Kutta法を用いてシミュレートし、1年間を複数の期間に分割して予測を行なった。多少のずれが生じた期間もあるが、概ね近い値となり、成功したと言える。以上より、自然現象などの時系列データも、我々の開発したシステムで予測できる可能性があることを示せたと言える。また、より現実の回路に近い形で予測を行なうため、spiceを用いてダブルスクロールを持つ複雑なカオス時系列データの予測を行なっている。以上の予測を行うのに用いている発振器のネットワークを拡大し、そのシステムに見られる現象について解析を進め、定常状態でみられる特殊な波動現象の存在を確認した。この波動現象の性質は、ネットワーク上を伝搬するだけでなく、波同士が衝突する際、反射や消滅などを起こすことを発見し、そのメカニズムも明らかにした。さらに、これらのネットワークにおける、同相同期や逆相同期への初期値からの引き込みの強さなどについても調査解析を行った。以上の方式以外の方式として、spiral inductorを用いたvan der Pol発振器2つと、spiral inductorとキャパシタで構成した共振器を1つ作成し、2つの発振器の間をspiral inductor間の相互インダクタンスと共振器で結合したネットワークを開発した。このネットワークを用いて、予測に利用が可能と考えられる複雑な波形を合成することに成功した。
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