研究概要 |
超電導コイルがクエンチすると, 過大な局所的温度上昇による超電導導体の特性劣化・焼損などの厳しい事故が発生する場合がある。したがって, コイルがクエンチした場合にはできるだけ早くクエンチを検出し, コイル内部の蓄積エネルギーを外部に引き出し, コイルの温度上昇を抑える必要がある。 本年度では, 研究代表者が提案しているクエンチ保護法である有効電力法について, グレーディングされた直流および交流超電導コイルのクエンチ保護に対する有効性を, Bi2223線材にて作製した2層超電導コイルを試験用コイルとして検証した。その結果, 直流, 交流といった通電電流波形によらず, クエンチ後の温度上昇を低く抑えることができた。本成果を雑誌論文および学会にて発表した。さらに, 実用レベルの容量を持ったコイルに対する有効性の検討を開始するために, その第一段階として冷凍機冷却型6T級超電導マグネットにてクエンチ保護試験を実施し, その有効性を確認することに成功した。来年度にその成果を発表する予定である。また, 高温超電導線材の局所的温度上昇検出法として提案しているAE信号の時間周波数可視化法に関して, 液体窒素浸漬冷却および冷凍機冷却されたBi2223コイルおよびYBCOコイルにて温度上昇の検出に成功し, 雑誌論文および学会にて発表した。さらに, 時間周波数可視化だけでなく, 包絡線検波法を取り入れることによって検出時間の短縮を試み, その有効性を確認した。本成果についても来年度に発表予定である。
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