| 研究概要 |
まず,新設の3波長の近赤外半導体レーザーを皮膚に照射し,その反射散乱光により形成される3波長のスペックルを結像系と色フィルタを介して新設のCCDカメラで波長ごとに分離して画像検出し,パーソナルコンピュータ(PC)に転送して画像処理を行うことができる測定光学系を新設の光学実験台上に構成した.次に,測定光学系全体の自動制御とCCDカメラの自動位置調整のために光学系の各可動部にサーボモータを組み込み,これらを一括してコントロールするための自動制御用マイコンを製作した.その上で,本申請者が開発したスペックル画像のブレを空間差分で定量化する方法に基づき,血流速分布をPCのディスプレイ上に実時間で画像表示できるソフトを開発し,ヒトの手首や指の血流を対象とした基礎実験によりその有効性を確認した.さらに,近赤外域での生体組織の分光反射率を種々の酸素濃度について計算することにより近赤外分光反射率データベースを作成し,実測分光反射率とデータベース値の比較により酸素濃度分布を求め画像表示できるソフトを開発して,ヒトの手首などを対象とした基礎実験によりその有効性を確認した,同時に,上記のデータベースにメラニンと酸化・還元ヘモグロビンの吸収係数を説明変数とした重回帰分析を適用し,悪性腫瘍部本来の酸素濃度値を推定した.この推定値は,腫瘍が悪性か良性かの判別に有効である.以上の研究成果はいずれも,平成20年度に実施予定である計測装置全体のシステム化,ならびに皮膚ファントムを対象としたモデル実験のために必要不可欠なものである.
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