本研究では、要素数としで小規模なアレイ状音源を採用し、その音源の特徴に基づいた、新たな音響波イメージング手法、空間情報取得法を構成することを目指している。 その過程において、本年度においては、少数の矩形トランスデューサをアレイ状に配置した音源を用いて、空間中における音響波の反射点を探索する手法に関する検討を実施した。 矩形トランスデューサは、四つの頂点と四つの辺を持つことより、その空間インパルス応答は、音響波の観測点の位置によって非常に複雑に変化し、実際に音源を駆動して取得される波形の形状においても、観測点の位置に依存した変化が見られる。 反射点の探索においては、点反射体からの反射波に関して、反射点の位置に依存する反射波形の形状の変化を利用する。実際の測定波形と、音源への入力信号と音源の空間インパルス応答から形成した反射波形との相関を、計算上の観測点位置を変化させながら順次取得・比較を行うことによって、反射点の位置を推定する。 音源として、5個の矩形要素を十字状に配置したアレイを設定し、そのうちの3要素ずつを同時に駆動することにより、幾何学的配置の異なる2種類の矩形音源を形成した。そして、各々の音源における探索結果を重ね合わせることによって、単一の矩形音源を用いた手法からの探索結果の改善を図った。 解析的検討の結果より、設定した反射点の位置によっては、単一の矩形音源による探索で見られた、反射点の位置以外における相関の強い箇所が目立たなくなり、探索結果が改善されたと考えられる一定の結果が得られた。これを踏まえ、更に探索結果を改善するべく、検討を実施することが必要であると考えられる。
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