研究概要 |
本研究では,加速管の内部形状測定装置の開発を行う.亜-米-欧で進められているILC計画に用いられる直線加速器は,従来の円形加速器と比べて電子の高加速勾配が必要となる.現在,高加速勾配加速管の開発中であり,加速管の性能を決定する内部形状を直接測定する必要が生じた.加速管は長さ約1m,φ60mm〜φ210mmのベロー状の複雑な構造をしており,既存の装置ではこの内部形状を測定できない.そこで,加速管内部を3次元的に0.1mmの精度で測定する装置の開発を行う. 内面までの距離を測定する手法として,非接触測定可能なレーザを用いた三角測量法を採用した.しかし,加速管の内部は,スペックルの悪影響があること,加速管内部測定のためには測定レンジの長さや装置の小型化が必要だが,これは精度とトレードオフであるという問題点があり,従来の手法をそのまま用いてはlmmの測定分解能すら達成できなくなってしまう.そこで,イメージプロセシングを用いて,レーザの幅やカメラ分解能によって決まる制限を超えた分解能を達成した.また,複数カメラを用いた誤差低減を用いて,測定精度を向上,安定な測定を可能にした.この結果最も条件が悪い箇所においても,繰り返し誤差0.06mmを達成した. 次に,回転ステージに搭載して形状測定実験を行った.正確な形状測定をおこなうには回転軸と測定原点とのずれ量を測定し,キャリブレーションを行う必要がある.そこで円筒アーキテクチャを用いたパラメータ同定法を提案した.これは,任意の位置においた円筒アーキテクチャを測定するだけでキャリブレーションが可能とする手法であり,これによって精密位置決めをおこなうことなく,正確な形状測定を行うことが可能になった.この求まったパラメータを用いてφ100mmの円筒の測定をおこない,φ99.9mmの測定結果を得ることができ,形状測定ができていることを示した.
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