研究概要 |
今年度は, ディジタルフィルタの設計問題に対して, Lagrangeの未定乗数法によって緩和問題を解くことにより最適化を行う「分枝限定法」に基づく設計法について研究し, その成果を国際会議および国内学会で発表した, この方法では, フィルタ設計問題を2次形式で表すために設計誤差を重み付きの修正最小二乗法によって定式化し, 求まった2次形式を利用して分枝限定法を用いている. ただし, すべてり離散値候補を調べると, たとえ分枝限定法を利用したとしても多大な計算コストを要することが分かったので, 探索すべき候補値を連続値の近傍に限定することにより, 設計の効率化を図った. また, 修正最小二乗法は平均二乗誤差との間に方程式誤差が存在するので, そのギャップを低減するために重み関数を適切に調整する方法について検討を行った. ここでは, 各周波数における修正最小二乗誤差と平均二乗誤差との差分をとり, その差分が大きい周波数成分で重みを大きくとることにより, 方程式誤差を低減する方法について検討した. その結果, 平均二乗誤差をより小さくする2次形式の評価関数を求めることができた. さらに, ディジタルフィルタの積和演算に起因した丸め雑音を低減化するために, 分枝限定法をディジタルフィルタにおける誤差フィードバック回路の設計問題に適用し, 提案アルゴリズムの有効性について計算機シミュレーションに基づく検討を行った. また, 昨年度と同様, 今年度も電子透かし法への応用を想定して, 1次元(音)信号および2次元(画像)信号に対する電子透かし法についても研究を行った.
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