本研究課題では、ハイブリッド電源車両における省エネルギー運転制御を対象とし、最適性、すなわち最小エネルギー化を考慮しつつ、制御の実用性を飛躍的に増大させることを目的としている。その1年目として、平成19年度には次のことを行った。 1. 既に開発した動的計画法や勾配法などを用いた最適運転求解法について、シミュレーションを多数行い、走行時間に余裕のある場合とない場合で、最適なエネルギー分担方法が異なることを示した。この成果については、論文にまとめ、電気学会の英文誌に投稿中である。さらに、自動車の走行条件として、信号の影響や乗り心地なども考慮した簡易的シミュレーションを行い、最適化モデルで考慮できることを示した。 2. リアルタイム制御法の検討の初期段階として、目的地までの距離と位置エネルギー(高度)の変化を考慮に入れたファジィ制御方法を提案した。オフラインで最適化した解とも比較を行った結果、これらを考慮に入れることで、リアルタイム制御シミュレーションの結果が理論最適解に近づくことが示された。この成果については、来年度に学会で発表する予定である。 3. インバータやチョッパに与えるPWM波形を生成する「パワエレ用デジタル制御システム」を新規に購入し、既存の交流電動機、チョッパ、インバータ、慣性負荷、電気二重層キャパシタを組み合わせた模擬ハイブリッド電源-電動機駆動システムの構築を行った。これは、来年度の実験的検討で利用する予定である。
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