研究概要 |
本研究課題では、ハイブリッド電源車両における省エネルギー運転制御を対象とし、最適性、すなわち最小エネルギー化を考慮しつつ、制御の実用性を飛躍的に増大させることを目的としている。研究計画の最終年度として、平成20年度には次のことを行った。 1. 昨年度の成果である, 位置エネルギー (標高) を考慮した簡便なオンライン制御の検討をさらに進め, これまでのバッテリーキャパシタから, より難しい燃料電池- キャパシタハイブリッドシステムに変更して検討を行い, 電源の条件が変わった時でも十分理論的最適条件に近いところでオンライン制御ができていることを示し, 本制御法の利用価値を明らかとした。 2. 10月から2月の5ヶ月間は、文部科学省の「大学教育の国際化加速プログラム (海外先進教育研究実践支援 (研究実践型) ) 」の個別取組「次世代電源による高効率モータ駆動法の開発」のため受入教員アンドレア・ヴェッチーニ教授のいるスイスのベルン工科大学に滞在した。その際, モデル予測制御によるモータの制御法について検討し, モデル予測制御による省エネ運転制御への適用可能性を示した。この方法では, 様々な制約条件を考慮しつつ, 消費エネルギーなどの目的関数をオンラインで最適化できる。しかも, モデルと実プラントの誤差に比較的強いことも分かった。これにより, 本研究課題の遂行でこれまで不十分であった, 真のオンライン最適制御の検討を実現することができた。 3. 模擬電動機駆動システムによりエネルギー測定実験を行い、理論どおりの省エネルギーが達成されるかどうか検討を行った。理論と実験は比較的近い値となったが, 最適性の条件が実験装置でも満たされているかどうか必ずしも明確ではなく, 十分な成果が出るには, もう少し追実験や考察が必要となると思われる。
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