本研究は光学エンコーダの情報に基づく高精度加速度計測技術を確立し、加速度制御の性能を向上することを目的とする。加速度センサと同等の計測性能を低価格な光学エンコーダで得ることができれば、センサレスでモーション制御系の性能を向上することが可能となる。既存の多くのモーション制御系に適用可能であることから、本技術が実用化されれば、その波及効果は大きいと予想される。 代表者はこれまでに同期計数法と呼ばれる速度計測技術を開発しているが、本研究では本技術を加速度計測へと拡張し、検証を行った。本年度の成果は以下の3点に要約される。 (1)同期計数法の実装による高精度加速度制御の実現 (2)計測精度の定量的評価 (3)エンコーダのスリット間隔誤差など、理論上現れない技術的課題の解決 まず、3次元多自由度ロボットアームを構築し、加速度制御の性能が従来のものよりも向上されることを確認した(成果(1))。次に本技術によるセンサレス計測の性能を評価し、加速度センサとの比較を行った。また、加速度制御手法の拡張であるセンサレス力計測に本技術を応用し、力センサとの比較により、その計測性能を評価した(成果(2))。当初はエンコーダのスリット間隔の不均一性に起因して所望の性能が得られなかったが、スリット間隔の不均一性を無効化する手法を提案し、実装することによって理論に近い性能が得られることが確認された(成果(3))。
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