研究概要 |
本研究課題の目的は, ある種の反復学習制御に基づく連続時間システム同定法をフィードバック制御されている制御対象の同定問題に拡張し, その有効性・実用性を示すことである. 昨年度までに反復学習制御に基づく連続時間システム同定法をフィードバック制御されている制御対象の同定問題に拡張し, 新しい連続時間閉ループ同定法を提案することができた. 提案手法においては学習更新則に, 観測雑音等の事前情報を一切必要とせず逐次的に雑音の影響を減少させる効果をもつ学習ゲインを採用し, モデル化誤差をもつ不安定かつ非最小位相系の制御対象に対して連続時間閉ループ同定を行った数値例に基づき提案手法の有効性を確認している. 本年度はより有効性・実用性を有する同定手法に拡張することを目的とし, 以下の成果を得た. 1)入出力信号の射影を利用した反復学習により多変数系の連続時間伝達関数モデルを直接同定する方法を提案し, 実用上十分な同定結果が得られることを示すことができた. 2)多変数系の同定においても学習更新則および学習ゲインの選択に関しては昨年度までの研究成果と同様の枠組みで扱えることを示すことができた. 3)提案手法の有効性を検証するための実験システムの構築を行った. ただし, 機械系実システムへの適用する際, 避けることのできない摩擦などの非線形性を有するシステムに対する拡張については今後検討する必要がある.
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