研究概要 |
平成21年度は,これまで得られている(ア)平成19年度に研究したフィードフォワード(FF)入力の調整方法と,(イ)平成20年度に研究したフィードバック(FB)パラメータの調整方法を,統合して設計を行う手法について研究した.FF補償器とFB補償器がそれぞれ軌道追従特性と外乱除去特性を有するための統合化設計手法を構成した.対象とする系は入出力に対して非線型であるため,フィードバック補償器の調整には軌道周りでの線型時変システムによる近似が必要となる.そこで,始めに所期の目標軌道の近傍で対象となる系が振舞うようにフィードフォワード入力の調整を行う.次にフィードフォワード入力の調整により得られる系の物理パラメータ推定値を用いて,フィードバック補償器を調整する手法を考案した.本手法に対して数値シミュレーションにより有効性を検証した.また数値シミュレーションを高速に計算するために,並列計算システムを構築した. また本研究課題の最終目的である事前情報量と所期の軌道追従性能を達成する反復回数の定量評価については,フィードフォワード入力調整法を対象にして研究を行った.本研究においては複数存在する対象システムはモデル構造としては同じであるが,物理パラメータが異なる場合を仮定する.目標軌道,物理パラメータの真値からの偏差及び追従誤差のノルムの上界から学習回数の上限を評価する方法を導出した.また物理パラメータの分布が与えられたときに,事前に学習するパラメータの選択方法について考察を行った.
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