本研究の最終目標は建設材料に使える木粉を液化した樹脂の開発とともに樹脂の物性であり、構造設計に密接に関連する長さ変化に関しての基礎データを収集することにある。木粉を溶媒・触媒を使ってポリオールに変換し、イソシアネートで硬化させるポリウレタン樹脂に関する研究はバイオマスの分野でこれまで行われていたが、建設材料用としての研究例はほとんどない。加えて、建設材料の場合、大量に使用することを前提とするために、コスト削減や環境保全のため、溶媒によって不純物を取り除かないなどの措置が必要と考え、建設材料用樹脂の開発というコンセプトの元、樹脂の製造過程を-から見直すこととし、平成19年度は主剤であるポリオールの合成条件の検討、また、できあがった主剤とイソシアネートの配合による樹脂の強度の影響などを検討した。使用樹種は杉と白樺とし、2mmのふるいに掛けた木粉を使用した。液化の過程で、針葉樹である杉と広葉樹である白樺では、液化に要する時間が異なり、白樺の方が長くなるなどの新しい知見を得た。また、樹脂に関しては、不純物を取り除かないでもある程度の強度が得られることや[NCO]/[OH]比を高くすると強度が増すなど従来通りの結果を得たことや液化の合成時間を長くした場合、樹脂密度が小さくなるなど新しい知見を得た。
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