研究概要 |
前年度に開発したせん断損傷指標をより合理的に得るための検討として, 繰り返し載荷を受けるRC柱部材を対象とした載荷実験を行い, ひび割れに着目した損傷指標の検討を行った。載荷サイクル毎に柱に発生したひび割れを測定し, ひび割れによって生じた内部空間の総和を求め, これを損傷指標に適用した。最終破壊形態と鉄筋配置を実験パラメータとして検討した結果, ひび割れを指標としてせん断損傷レベルを定量的に評価しうる道筋を得た。さらに, 実際に被災した構造物の修復費用算定などを念頭に, 載荷時のみならず除荷時にも同様の計測を行った結果, 地震力が作用していない状態では最大経験損傷の70%程度の損傷が目視で確認できることが明らかとなった。このことは, 被災構造物の復旧を行う際に, 構造物が経験した最大損傷を地震後に推定する上で非常に有用な情報となるものと考え照れ, 定量的な復旧性評価に貢献するものと考え照れる。 また, 研究計画において地盤変状に対する対策の一つとして考えていた地盤改良についても検討を行った。地盤改良工法は様々提案されているが, 今回はセメント系固化材による地盤改良を念頭に置き, 改良体を含む構造物一地盤系の地震時性状および改良効果の評価のための解析手法の確立を目的として, セメント改良砂の材料試験を行い, 改良体に適用する材料構成則の検討を行った。セメントとベントナイト混入したモルタル試験体を作製し, 圧縮強度・曲げ引張強度・弾性係数の測定を行った。その結果, 通常のコンクリートと同様, 高水セメント比のセメント改良砂においても, 引張強度や弾性係数が圧縮強度の関数として推定しうることが明らかとなった。さらに, 既存のコンクリート用構成則の適用を念頭に置いて, 繰り返し圧縮試験を行い, 除荷剛性と塑性ひずみの推移を測定した結果, 既存のコンクリートモデルを微修正することで, その挙動を精度よく追跡可能と考え照れた。
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