研究概要 |
2003年十勝沖地震や2007年能登半島地震の際に発生した津波に関する海底水圧,海底地震動,水位,及び地表で得られたGPSデータや地震動記録の収集を行い,さらに数値解析を行った. 2007年の能登半島地震では,石川県沿岸で津波が観測されたが,富山湾では通常の伝播経路,すなわち震源から能登半島を回ってきたと考えると説明のつかない早い時刻に津波が観測された.実測データと数値シミュレーションから,富山湾で観測された津波も含め,能登半島地震による津波の発生・伝播状況を調べた.実測データとしては港湾空港技術研究所,気象庁および国土地理院の潮位・波高データを使用した.港湾空港技術研究所のNOWPHASにより得られたものに関しては,データに短周期成分が多く混入して津波波形の判読が困難なため,バンドパスフィルターを通して津波波形を抽出した.実測記録からは,輪島で10時頃津波第一波の立ち上がりが観測されており,富山ではそれより早い9時50分ごろに津波第一波が到達していた.数値シミュレーションから,富山での早い津波を除けば,津波の到達時刻,波高ともに通常の断層モデルと津波初期波形モデルよく再現できることが確認された.また,富山湾西岸,能登島のあたりに第二の波源があったものと推察された. 2003年十勝沖地震のデータ解析では,従来動的津波解析で指摘されていた津波主要部に先行する水圧変動が観測されていることを指摘した.
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