研究概要 |
大型車両が,高架橋上を走行した場合,伸縮装置近傍の路面凹凸により車両のばね振動が加振される.さらに,その車両のばね振動と車両により加振された橋梁振動がその高架橋の周辺環境に伝播する.本研究では,それらの振動を低減するため,伸縮装置近傍での路面凹凸と車両ばね振動との関係を明らかにした.さらに,大型車両のばね振動が大きく加振されない伸縮装置近傍における路面凹凸の補修判断基準等の評価方法を検討した.本研究による主な成果は以下の通りである. 1. 実際に振動問題が生じている橋梁に行き,8mプロフィルメータまたは,レーザーを用いた計測車両により路面凹凸の計測を行った.この実測データの分析と車両モデルを用いた動的応答解析の結果から,伸縮装置近傍での路面凹凸の周期性と車両ばね振動との関係を明らかにした.特に8m周期の路面凹凸が伸縮装置近傍に存在する場合,車両がその路面凹凸により最も大きく加振されていることがわかった.さらにその車両が橋梁に進入すると,車両のばね上振動と橋梁振動との連成により橋梁の振動が大きく増幅することがわかった. 2. 本研究ではIRIを用いた新たな路面の補修判断基準等の評価方法を検討した.具体的には,現在,世界的に用いられているIRIにおけるクウォーターモデルの各パラメータを日本のリーフサスペンションを有する大型車両(ばね上3Hz,ばね下11Hz)モデルに作り変え,JRIT値(ばね上とばね下の変位和,以下"和"と表記する)から評価することにした.これにより,振動問題が生じていた様々な路面にIRI評価およびJRIT評価を適用した結果,IRIを評価手法として用い,長波長の路面に適用し,補修目標値を「3.5」として評価しても対応できる部分もあるが,提案したJRITによる評価手法を用いて補修目標値を「7.0」として評価した方が,より現実の振動問題に対応した大型車両のばね上を励起しやすい波長を有した路面であるとの結論に至った.
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