研究概要 |
平成19年度の研究項目は大きく分けて次の2つである.(1)桁と橋台衝突を考慮した橋梁全体系模型の振動台実験および実物大モデルの地震時応答解析,(2)鋼箱桁の桁間衝突に着目した衝突解析とゴム製緩衝材による損傷低減対策の有用性の確認.研究成果としては以下の通りである.(1)の衝突を考慮した橋梁全体系模型の実験では,模型規模が小さいため,衝突の有無による橋脚基部の曲げモーメントなどに有意な差は見られなかったが,簡易な骨組モデルで実験をシミュレーションできることが確認された.実物大モデルの地震時応答解析では,桁-橋台衝突のモデル化として衝突ばねモデル(線形ばねモデル),橋台の背面抵抗を考慮したモデル,桁と橋台衝突をあらかじめ解析し,その結果をトレースしたモデルの3種類を考え,橋台部の損傷を考慮しない従来の衝突ばねモデル(線形ばねモデル)では,桁端部に発生する衝撃力を大きく,また橋脚基部に発生する曲げモーメントを小さく見積もるおそれがあることを明らかにした.続いて(2)の鋼箱桁の桁間衝突解析では,ゴム製緩衝材の設置により桁端部全体に働く衝撃力を大きく低減できること(本研究の対象モデルでは約60%の低減)が確認された。緩衝材を設置しない場合は鋼箱桁に均等に力が作用するため,降伏応力に達する部材がない解析条件においても,緩衝材の配置場所により,主桁ウェブなど局所的にカが集中する場所では,降伏する部材が存在することが明らかとなり,緩衝材の設置場所に注意が必要であることが分かった.
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